ある2人の生徒の話をします。数年前に担当した生徒です。
A子さんとB子さんは2人とも『周りよりも私はデキる人でありたい』という気持ちが強くてつぶれてしまったタイプの不登校でした。
登校しぶりの状態になり、成績が下がることで今までのポジションを維持できず人間関係が崩れていったケースです。自分はもっとデキる人のハズだという自己イメージと現実とのギャップに苦しみ、更にストレスが溜まってしまいます。そのストレスを母親に話すことでストレスに耐えている様子も共通していました。
一見よく似たケースに見えます。しかしこの二人の支援の手法は全くことなるものでした。
A子さんはいじめを経験していましたが、B子さんは孤立を経験していました。どちらが重たいケースか、という話ではなく、人間関係のしんどさの違いがあるということです。
これにより対人恐怖の度合いに差がありました。だからA子さんは対人恐怖がありながらも人間関係を作ることができましたが、B子さんは人間関係を作れはするのですが、その関係が安定しませんでした。『友達に(嫌われる予定あきりで)攻撃されるかもしれない』と考えているA子さんと、『友達にはもしかしたら嫌われたらどうしよう』と考えているB子さんの相違点はとても大きいものでした。
もちろん二人とも勉強のやり方やプライドの高さをモチベーションに変える手法など共通した対策はいくつかありました。しかし、A子さんに効果のあった人間関係の対策は、B子さんには刺激的すぎて恐怖を感じる対策だったのです。別々の対策をすることでうまく回復することができました。