どうも。いつも不登校のご対応、お疲れ様ですm(_ _)m
NPO法人ステップの原です。
普段聞けない質問
「学校をどのように良くしたらいいか」という話をしている時に、ある方からご質問をいただいたので、私の考えをご回答申し上げたいと思います。
学校に戻った方がいいのでしょうか?それは引きこもりを招いてしまうから?人とつながりたいっていう本能があるから?
とご質問をいただだきました。
普段、聞けないんだと思います。
学校に戻った方が良いかって、一から考え直している方は少ないと思います。
私は考えているので、一つ一つお答えしていきます。
学校に戻った方が良いか?
【ご質問1】
学校に戻った方が良いのでしょうか?
▲私が不登校だった小学校です
【原の考え】
私は、
- 学校に戻った方が良いかどうかは、人それぞれではない。
- 在籍していた学校に戻った方が良いかどうかは人それぞれですが、
- 自分に合う教育を受けた方が良い。
と思います。
もちろんそれは、公教育である必要はありません
その背景と理由
私がそう思っている背景と理由がいくつかあります。
①環境に合うか(前提)
人にはその環境ごとに、合う合わないがあります。
合わない学校には戻らない方が良いと思います。
(合わない時は、合う学校を見つけて教育を受けましょう。)
「自分に合う」とは
- 興味関心(好き嫌い)
- 特性やタイプ
- 価値観
の3つの視点で考えます。
例えば、私は正義感が強いタイプだったので、非行傾向の高い地域の中学校では毎日イライラしていました。
高校に入ってからは、イライラする同級生の言動が少なく、平和でした。
(高校では教育方針に私自身が合わなかったので、不登校になりました。)
②教育を受けられる状態か?(前提)
人には、教育を受けられる状態と、そうではない状態があります。
教育を受けていると、成長を求められます。
漢字を教わると、その漢字を読み書きできるようになる成長が求められます。
でも、「自分が成長すること」をどうでも良いと思う時期があります。
それは、病気になりそうなとき、病気になっているときです。
この時期は教育を受けられる状態ではありません。
ストレスが溜まりすぎて、うつ病になりそうで、腹痛や血圧低下がある時、
それは教育を受けられる状態ではないかもしれません。
ちなみに、これは、志は関係ありません。
志があっても、不調は不調です。
③本人の成長
自立していくための経験をするには、学校が最適だと思います。
その次に、良いのが学校以外の教育機関だと思います。
学校では、社会全体の流れに沿った経験値を稼ぐことができます。
特に、心理的な発達課題のクリアや、自己の能力開発(レベル上げ)には、学校教育は最適だと思います。
他人との関わり合いによってその経験の多くが生まれるからです。
家庭だけで教育して、その経験をさせるには、限界があります。
ただ、
- でも、大学受験に向けた教育である必要はない。
- 公教育である必要はない。
- 場には、10人以上の、ある程度規模がある方が望ましい
▲生徒にレース業界のプロから話をしていただいた時の写真。
④しんどくなくて、楽しくできそうになってから学校に戻る。
学校に戻る条件は、しんどくない×楽しいの両方が必要です。
学校の先生が不登校の支援をされている場合、「しんどくないなら学校に来れる」と考えられている印象があります。
しかし、ヒトはそういう風にできていません。
継続するかどうかのときは「しんどいかどうか」で判断することもできますが、再開する時は「やりたいかどうか、やるべきかどうか」での判断が必ず必要です。
ヒトは、しんどくなくても、やりたくない行動は始めても続けられない動物です。
つまり、不登校になる時は「しんどいかどうか」が大事ですが、再登校する時は「しんどくない、かつ、登校したい」と思う必要があります。
3か月以上は行き続けないと、登校している生活が定着しません。
最低でも3か月は登校したいと思う理由が必要です。
多くの生徒の場合、学校に通っていて「楽しい」と思うことが、登校する理由になります。
- 友達としゃべる
- 遊ぶ約束をして帰る
- 給食の時間が楽しい
など、小さな理由がたくさんできればうまくいきます。
引きこもるかもしれない、だから学校に戻った方が良いか?
【ご質問2】
学校に戻った方がいいのは、引きこもりを招いてしまうから?
【原の考え】
私は、
一般的には関係がありそうですが、そこは因果関係ではないです。
その背景と理由
まず、不登校とひきこもりがつながっているとは思っていません。
(乱暴な説明ですが、分かりやすいのでご容赦ください。)
不登校は、「学校に行っていない状態。」という定義です。
ひきこもりは「不登校かニート+他人との関係が少ない+外出していない」という定義です。
不登校の初期~中期では、
不登校は、「学校に行っていない状態+他人との関係ができない+外出したくない」という状態です。
↓↓
この、不登校の初期~中期の状態と、ひきこもりの定義が同じで、見た目も実質ひきこもり状態だから、不登校になったばかりの時期に保護者の方には、引きこもりになるのではないかと思えるのだと思います。
不登校支援をしていて、思うのは、逆に、20代の引きこもりの方も、この不登校の初期~中期と同じ心理状態であることが多いです。
つまり、
引きこもりと、不登校の初期~中期の状態は、同じ心理状態であると考えています。
不登校とひきこもりをほぼ同一なものだと思っています。
(もちろん、長期化した引きこもりの方の心理状態や、精神疾患のある場合の心理状態は、相違点が多いです)
回答としては
だから、「学校に戻った方がいいのは、引きこもりを招いてしまうから?」とのご質問の回答としては、
一般的には関係がありそうですが、そこは因果関係ではないです。
引きこもった方が良いわけではない。
ただ、誤解しないでほしいのは、不登校の初期~中期の状態でも、ひきこもった方が良いと考えている訳ではありません。
実際、弊社の支援でも、3割くらいの子は、学校に通ったまま回復して、安定します。
・ストレスが限界突破しない場合、別室登校をするのも良いと思います。(安定するまでが長くなりますが)
・対人恐怖が無い場合、他者との関係が、あっても良いと思います。(しんどいとは思いますが)
・外出しても良いと思う子がいれば、外出し続けるのも良いと思います(回復が遅くなりますが)
人とつながりたいっていう本能で、学校に戻った方が良いか?
【ご質問3】
学校に戻った方がいいのは、人とつながりたいっていう本能があるからでしょうか?
▲雑談のゲームをして笑っています。
【原の考え】
私は、楽に楽しくと思えるコミュニティであれば、成長できるので、戻った方が良いと思います。
その背景と理由
まず、人とつながりたいって本能があるかどうかは、非常に怪しいと思います。
人とつながるって、楽しいことも嫌な事も多いです。
群れの中で暮らしたいという所属欲求はあると思います。
昔は、家族、会社、第3のコミュニティ、という所属だったと思います。
しかし、現代では、SNSで群れ感を味わえる生活です。
今の10代後半の若者は、家族、SNS、学校など、という所属になりつつあるように思います。
学校が、第3のコミュニティのポジションになりつつあると感じます。
そういう意味で、
学校への所属=第3のコミュニティへの所属を、本能的に求めるかどうかは、検証する必要があると思います。
ステップの支援では、
第3のコミュニティ(学校など)への所属は、低リスク、かつ、メリットがある必要があると思います。
だから楽しく楽に思える必要があると思います。
楽しく楽だと思えることで、その場での行動から経験になります。成長することができます。
私は、楽に楽しくと思えるコミュニティであれば、成長できるので、戻った方が良いと思います。
マズローの5段階欲求説
一方で、マズローの5段階欲求説というのがあります。
↓これです。詳細はこのページがおすすめ記事です。
この、社会的欲求の段階が来た時、不登校の子は「人と関わりたい!」と思うようになります。
だから、学校に戻りたいと思うようになります。
シンプルに、回復したら、他人と関わりたいと思うようになるということです。
もし、まだ人と関わりたくないと言っている不登校の子がいたら、それは、
- 回復していない
- トラウマがある
- 対人恐怖が強い
などの原因があると思います。
まとめ
いただいたご質問に対する回答は以上です。
様々な生徒たちの顔を思い出しながら書いていたのですが、
(過去の私も含めて)皆が一様に言うのが、
「学校は、しんどくなくて、楽しいなら、そりゃ行きますよ。」
ということです。
なので、学校は、しんどくなくて楽しい状態で通えるようにするのが、不登校支援だと思います。
しんどい状態のまま再登校しても続きませんし、不幸になります。
ではでは。長文を読んでいただき、ありがとうございました。
NPO法人ステップ 原