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1つの必修が重たくて。引きこもりから社会へ踏み出した大学生のケース

こんにちは!今日は、私たちが支援したある大学生のケースをご紹介します。

彼は県外から一人暮らしをして、岡山大学に通っていたのですが、必修科目の1つがどうしても取れず、何年も進まずに、大学から足が遠のいていたケースです。

高校まではうまくやっていたけれど…

高校時代までは、少し人間関係に不器用なところはありましたが、無事に卒業していました。友達もできていて、そこまで大きな困りごとはなかったそうです。(本人談)

ところが、大学に入ってから大きく状況が変わります。

大学では「他の人と一緒にプレゼンをする」授業がありました。これがどうしても難しかったんですね。人前で話すことや、他人と意思を合わせて何かを進めることがとても苦手だったんです。

その授業を避けるために何度も履修を先延ばしにしてしまい、気がつけば大学4年目の夏に。
ご本人も何とかしようと試行錯誤を繰り返していたのですが、(ブログには書けない)専門的な技術が必要なポイントに困難さがあったため、進まなかったようです。

ステップにお越しになったときは、ご両親の心配はかなり大きくなっていました。
「本人をずっと見守り、サポートしてきたが、親ではこれ以上できない。だけど何とかしてあげたい」とご相談くださいました。

生活の様子をお聞きすると
・一人暮らしの部屋で動画やばかり観ている。
・たまに外出はできている。
・お母さんの連絡にもあまり返答がない。(だから様子を見にたまに岡山に来ている)
とのことでした。

「この科目さえクリアすれば何とかなるはず」とご両親。
でも、それだけじゃなかったんです。

本当の問題は「将来への不安」

支援が始まってすぐに感じたのは、彼が単位取得よりも将来に強い不安を抱えているということでした。

「自分は社会でやっていけるのか?」
「働くって、何ができるんだろう?」

そんな気持ちでいっぱいで、部屋からも出られない状態でした。

そこで私たちは、まず自尊感情を取り戻すことから始めました。傷ついた気持ち、孤立感、失われた自信...それらに丁寧に寄り添いながら、カウンセリングを重ねていきました。

半年ほどたった頃、ようやく少しずつ回復の兆しが見えてきます。

小さな成功体験が自信に変わる

倉庫でピッキング作業をいきいきと行う彼の画像

まずは私たちの支援施設内で、簡単なアルバイトからスタート。短期のアルバイトから始め、試行錯誤をしました。うまくいかないこともありましたが、成功体験になることもあり、カウンセリングしながら、徐々に社会経験を積んでいきました。

これがとてもよかったんです。彼の中で「役に立てた」「楽しかった」「またやってみたい」という前向きな気持ちが少しずつ芽生えていきました。

その後、一緒に「向いている仕事って何だろう?」と話し合い、彼が選んだのは倉庫管理の仕事

倉庫で注文に合わせて発送する地道な仕事ですが、これが本人の気質に合っていたんです。黙々と集中できて、しかも成果がはっきり見える。本人も「楽しい!」と話してくれて、気がつけばアルバイト先から「社員にならない?」と声がかかるほどに。

卒業、そして社会人へ

その成功体験が大きな自信となり、大学の単位もクリア!大学に通うようになりました。
その後、卒業も無事に果たしました。

卒業時は、同じアルバイト先でフルタイムで働いていましたが、その後に正社員の仕事に就いて安定したので、支援は終了となりました。数年前に顔を見せてくれましたが、職場に恵まれたこともあって人間関係も良く、楽しそうに働いていました。


子どもの「苦手」は、やり方しだいで乗り越えられる

このケースを通して感じたのは、「1つの科目ができない」の背景に、どれほどの葛藤や不安が隠れているかということ。そして、小さな成功体験の積み重ねがどれだけ人の心を前向きに変えていくかということです。

もし今、お子さんが「学校に行けない」「将来が不安」と苦しんでいるなら、**「何ができないか」ではなく、「どんなサポートなら動き出せるか」**を一緒に考えてみませんか?

ご相談はいつでも受け付けています。どうぞお気軽にお問い合わせください。