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「何かしなきゃ」と苦しくなったら──不登校の初期に、親がやっていいこと・やらない方がいいこと

不登校 初期対応 中学生 高校生

こんにちは。NPO法人ステップの原です。

今日は、「不登校の初期、親は何をしたらいいのか」という相談で、
とても多いテーマについて書きます。

もしかすると今、

  • 何か動かないといけない気がして落ち着かない
  • でも、下手に動いて悪くしたらどうしよう
  • 「何もしないでいい」と言われても、不安が消えない

そんな気持ちで、この記事にたどり着いたかもしれません。

まず最初に、これだけは伝えさせてください。
不安で動きたくなるのは、とても自然なことです。
それだけ、お子さんのことを大切に思っている証拠でもあります。

不登校の保護者のモヤモヤな不安イメージ

不登校の「第1段階」は、動かす時期ではありません

不登校には、回復までのいくつかの段階があります。
ステップでは、これを「回復ステップ」と呼んでいます。

▶︎ 参考記事
👉 不登校の回復ステップ全体像はこちら

今のお子さんがいることが多いのが、第1段階です。

この時期は、
「怠けている」「やる気がない」わけではなく、
心のエネルギーが、ほぼ空っぽになっている状態です。

例えるなら、
スマホの充電が0%に近いのに、
「早くアプリを立ち上げなさい」と言われているようなもの。

この段階のいちばんのゴールは、
何かをさせることではありません。

👉 回復を妨げない環境をつくること
それが、第1段階でのいちばん大切な役割です。
(これが難しいんですけどね。。。)


第1段階で、親が「やっていいこと」

ここからは、「今日からできること」を具体的に挙げていきます。

ただ、全部を一生懸命にやらないでください。
疲れない範囲で、今の状況でできそうなことだけを、少しだけやってください。

「これならできそう」というものだけ拾ってください。

① 生活を「整えすぎない」で守る

昼夜逆転、食事のムラ。
この時期、よくあることです。

無理に直そうとすると、
かえってストレスが増えることが多いです。

  • 起きる時間を責めない
  • 食べられるものを、食べられるタイミングで

適切な対応をすれば、この時期は長くは続きません。
(身体の防衛反応の方が先にきます。私も経験者だから大丈夫です。)

「最低限、生きるエネルギーを守る」
それで十分な時期です。

運動していない子の食事の最低限の目安は、1日 1食+おやつです。

余談ですが、この状態↑を、私は「野生化」と呼んでいます。
「時間が来たから食べる」と生きてきた子が、「身体が欲してから食べる(野生)」になっていくからです。
これは、身体からの言葉を聞こえるようになります。
長期的に健康的になりますので、良いですよ。


② 声をかけるなら、短く・評価なしで

何を言えばいいか分からなくなりますよね。

この時期は、
長い励ましや正論は、ほとんど届きません。

おすすめなのは、とても短い言葉です。

  • 「おはよう」
  • 「ごはんあるよ」
  • 「寒くない?」

気持ちを動かそうとしなくて大丈夫です。
最低限の事務的な会話でもOKです。1日1回以下でも大丈夫。
存在を否定していない、それが伝われば十分です。

不登校という前提ではなく、不登校と関係なく「自分は愛されている、大切にされる」と感じることができれば大丈夫です。

例えば、
・子どもが「お腹が痛い」と言った時に、「まじ?大丈夫?」とただ心配してあげることが大事です。
・この状況で「薬飲む?」など、対処を提案しないでください。

(この感覚が、難しいんですけどね。。。)


③ 学校・担任とのやりとりは、親が引き受ける

学校のことを考えるだけで、
強い不安が出る子も多い時期です。

  • 担任からの連絡
  • 単位や出席の話

これらは、できるだけ親が窓口になります。

「あなたの代わりに、こちらで調整しておくね」
その一言が、子どもの安心につながることも多いです。

ご本人のことだから、とご本人に確認する必要はないです。


④ 家の中を「安心していられる場所」にする

この時期、家は避難所です。

  • 兄弟と比べない
  • 夫婦間で方針をすり合わせる
  • 家の中で責められない空気をつくる

完璧じゃなくて大丈夫です。
「ここにいていい」と感じられることが、何より大切です。

と、定番の言葉で書いてみたのですが、これはめっちゃ難しいです。

実際、私がよく保護者にお伝えしているのは、「心理的安全性の確保をしましょう」ということです。
「心理的安全性」には、条件があり、それをこなせば、本人の安全基地は確保されます。
ぜひ、ググって、何をすればいいか、確認してみてください。


⑤ 「何もしない時間」を、自分に許す

とても大事なので、あえて書きます。

👉 お母さんが休むことも、支援の一部です。

何も変わらない日が続くと、
「私、何もしてない…」と責めてしまいがちですが、
実際には、「本人が回復する土台」を守り続けている状態です。


第1段階で、やらない方がいいこと

ここからは「避けたい関わり方」です。
責める意図はありません。
多くの親御さんが、良かれと思ってやってしまうことばかりです。

① 理由や原因を問い詰めること

「なんで行けなくなったの?」
今は、答えられないことがほとんどです。

本人も分からず、
聞かれるほど苦しくなることがあります。


② 将来の話を急ぐこと

「このままで大丈夫?」
「高校どうするの?」

親の不安としては当然ですが、
第1段階では、未来の話=プレッシャーになりやすいです。


③ 元気そうに見えるからと、次を促すこと

笑っている日があっても、
エネルギーが回復したとは限りません。

「今日は行けそうじゃない?」
この一言で、また閉じてしまうケースもあります。


④ 他の子・過去と比べること

「前はできてたのに」
「〇〇ちゃんは行ってるのに」

比較は、自己否定を強めやすいです。


⑤ 親の不安を、そのままぶつけること

不安になるのは自然です。
でも、それをそのまま言葉にすると、
子どもは「自分が悪い」と背負ってしまいます。


よくある声かけの迷い

NG → OK 言い換え例

NG:「いつになったら行けるの?」
OK:「今は、休む時期なんだね」


NG:「このままで大丈夫なの?」
OK:「心配になるけど、今は無理しなくていいよ」


NG:「少しは頑張らないと」
OK:「今日は、どんな感じ?」


「何もしない」は、見放すことではありません

第1段階は、
外から見ると「止まっている」ように見えます。

でも実際は、
これ以上壊れないように、(ご本人の無意識で)心が必死に守っている時期です。

▶︎ 参考記事
👉 第1段階の子どもの状態を、もう少し詳しく知りたい方はこちら

親ができる最大の支援は、
そのプロセスを邪魔しないこと。

それは、決して「何もしていない」のではありません。

でも、これって難しいですよね。
わかります。私もそうです。

今の日本社会の価値観では、「何もしていない」と思えるかもしれません。
周りから言われるかもしれません。
でも、それは本人の心のために「たくさんの支援をしている」とご理解ください。
(「頭で理解して耐えてください」という意味で、私は言っています。)

ご本人は、世の中の様々なしんどいことに耐えられず、一旦背を向けています。
ご本人も「わかっちゃいるが、できない」という状態です。

その「しんどいことの矢」が少しでもご本人に届かないように、お母さんとお父さんの背中で受け止めてあげてください。

それが「何もしない支援」というイメージです。

お母さんもしんどいと思います。そのフォローがんばります。


この時期を過ごしていると、少しずつ見えてくるサイン

・表情が少し柔らぐ
・家族との会話が増える
・興味の話題が出てくる

こうした小さな変化が見え始めたら、
第2段階に近づいているサインかもしれません。

ストレスや自問自答、自分を責める心が、ご本人の中で減ってきたら、
必ずその回復の方向に向かいます。
(ちなみに私の場合は、コーヒーゼリーを作り始めるところからでした)

もちろん、まだ先でも大丈夫です。


今、ここまで読んでくれたあなたへ

ここまで読んでくださったということは、
きっと、たくさん悩みながら向き合ってきたはずです。

今どこにいるか分からなくなったら、
「今日は、回復を邪魔しなかった」
それだけで十分です。

次の記事では、
第2段階で親が意識したい関わり方について書いていきます。

👉「少し落ち着いてきたかもしれない」と感じたら、
第2段階の記事も、よければ読んでみてください。

一人で抱え込まなくて、大丈夫です。
ここから、少しずつでいいんです。