こんにちは。
今日は「不登校 回復 後期」の話です。
中期(安定期)を少し越えてくると、
ある日ふと、「あれ?」と思う瞬間が出てくることがあります。
それは、劇的な変化というより、
本人の中の向きがちょっとだけ外に向いたような、小さな動きです。
ただ、ここでひとつ大事な前置きをしておくと、
うまくいっているように見えても揺り戻しがある、ということです。

むしろ、この揺れも含めて「回復の途中」なんだと思って読んでみてください。
ある日、少し変化が見えることがあります

「この前までずっと部屋だったのに、今日は顔を出した」
「急にコンビニに行ってみようかな、って言った」
「夜、家族の会話に混ざってきた」
現場でも、こういうあれ?はよくあります。
たとえば、
・「外出してみたら不登校が気にならなかった」と言った
・家の中の用事を、こちらが頼んでいないのに手伝った
・学校の時間割を見ていた(ただ眺めただけでも)
・髪を切りたい、服が欲しい、という話が出た
・久しぶりに友達の名前が出た
どれも、不登校と関係ない人からしたら些細なことです。
でも、ご家庭の中でずっと苦しい時間を過ごしてきたお母さんにとって、
めっちゃ嬉しいですよね!!
「これって…良い方向?」と期待と不安が一緒に湧いてしまうことも多いです。
その気持ち自体が、とても自然です。
それは試し始めたサインです

この時期は、私たちが「後期(回復・試行期)」と呼ぶ段階に近いことがあります。
分かりやすく言うと、中期で考えた不登校の原因から、
対策を思いついて、試してみる段階です。
※お母さんと試しているわけではなく、中期で思いついた対策を試してみています。
第2段階(中期・安定期)では、
気持ちが落ち着いてきたり、家の中で笑顔が戻ったり、
趣味を楽しめるようになったりします。
ただ、まだ「動く」まではいかないことも多いです。
一方で後期になると、
「やってみようかな」「行けるかも」という言葉が、本人の口から出てきます。
ここでのキーワードは、
「不登校 自分から動く」です。
もちろん、最初からスムーズにはいきません。
試してみて、怖くなって、また戻る。
試してみて、疲れて、次の日は何もできない。
そういう波があっても不思議ではないです。
不登校から動き始めるって、直線ではなく、ジグザグのことが多いんですよね。
この時期に起きやすいこと

短時間の外出が増える
後期に入ると、外出のハードルが少し下がることがあります。
といっても、いきなり遠出ではなく、
・夜に近所を散歩する
・コンビニだけ行く
・車で少しドライブする
みたいな短時間からです。
不登校になってひさしぶりに外出できたとき、
お母さんの方が泣きそうになることもあります。
ただ、次の日にまた引きこもっても、あまり驚かなくて大丈夫です。
外出は、体力も気力も使います。
本人の中では「やってみた」だけで、結構な挑戦です。(大ごとです)
遠出すると言い出したら
趣味のために、遠出するかもしれません。
推し活するために、ライブに大阪に行く、東京に行く、というのは、多いケースです。
ネットの友達と会うかもしれません。
そんな時は、じっくり話し合うことだけが大事です。
誰かに相談してください。
決してただ「ダメ」と伝えるだけではいけません。
思春期対応としての「ダメ」が必要です。
コツは、こちらの記事を参考にしてください
👉ベネッセ教育情報の「反抗期の子どもに伝えるべきこと・伝えてもムダなこと」
この中の、「実は言われたことの内容よりも、否定することに意味がある」という内容を是非読んでください。
将来の話をするようになる
急に、「進路どうしようかな」とか、
「この先、何したらいいんだろう」と話すことがあります。
いわゆる「不登校 将来の話をする」時期ですね。
ここも大事なのは、
話した=決めた、ではないことです。
考えが浮かぶようになっただけで回復のサインになりえます。
そして、話した直後に不安が強くなって黙ることもあります。
むしろそれは、「ちゃんと現実を見始めた」揺れとも言えます。
勉強を少し再開する
「不登校 勉強 再開」は、親がいちばん期待しやすいポイントかもしれません。
ただ、現場でよく見るのは、
最初は勉強というより
・参考書を買ってみる
・YouTubeで解説を見てみる
・英単語アプリを入れてみる
みたいな準備です。
これも立派な試行です。
やったりやらなかったりの波があっても、後戻りと決めつけなくて大丈夫です。
アルバイトや体験に興味を持つ
「バイトって、どんな感じなん?」とか
「短期のやつなら、できるかな」とか。
「不登校 バイト 始める」に向かう入口みたいな会話が出ることもあります。
ここも、最初は興味で十分です。
求人を眺めるだけで疲れる子もいますし、
応募の直前で怖くなって止まる子もいます。
止まることが悪いわけではなくて、
本人が「どこが怖いのか」を知る材料になることがあります。
でも、また落ち込むこともある(揺り戻し)

ここは必ず書いておきたいところです。
後期に見える変化は、明るい話だけではありません。
うまくいっているように見えても揺り戻しがある。
外出できた次の日に寝込む。
将来の話をした次の日に「やっぱ無理」と言う。
勉強を始めたのに、急に自己否定が強くなる。
こういう揺れは、回復の一部として起きることがあります。
本人は、動こうとしている分だけ、
また新しいストレスや怖さにも触れます。
だから、波があるのは「後戻り」ではなく、
挑戦したからこその反動と考えると、少し見え方が変わるかもしれません。
親がやるべきこと
ここからは、お母さん側の関わり方です。
この時期は、親が安心して見守れたほうが、本人の主体性が育ちやすいです。
ただ、安心って簡単じゃないですよね。
なので「できる範囲で」「戻っても大丈夫」という前提で読んでください。

信頼する
後期は、本人が小さく自分の意思を出し始める時期です。
「行くって言ったのに行かなかった」
「やるって言ったのにやらなかった」
こういう場面も出ます。
そのときに、信頼が折れそうになるお母さんも多いです。
でも、本人の中では「行けなかった」という結果より、
「行こうと思った」「やってみようと思った」が積み重なっています。
信頼は、結果への評価というより、
本人のプロセスへの信頼に近いかもしれません。
本人の意志さえあれば、必ず再び挑戦してくれます。
後方支援に回る
この時期に大切なのは、「親が少しも前に出ない」ことです。
前に出ると、本人が主導権を親に移そうとします。
そっちの方が慣れているし楽だからです。(私も奥さんにいつも任せてしまい、怒られます。この前も、、、)
本人が「自分で決めて、自分で動く」経験を積むには、
親は一歩後ろで、必要な時だけ手を貸す形が合いやすいです。
たとえば
・交通費だけ渡す
・必要な情報だけ置いておく
・申し込みは本人がやる(親は横で見守る)
みたいな「支援はするけど、運転はしない」感じです。
失敗を止めない
試行期は、文字通り試す時期です。
試す以上、うまくいかないことも混ざります。
ここで親が先回りして失敗を避けさせると、
本人は「自分で試した感覚」を持ちにくくなります。
「できた」とも思えないので成功体験にもなりません。
もちろん、危険なことは止めます。
でも、多少の遠回りや、ちょっとした恥ずかしさは、
あとで本人の自信に変わることがあります。
お母さんの心臓には悪いんですけどね…。
それでも、本人にとっては大事な経験になることが多いです。
決定権を渡す
本人が動き始めるほど、
親の中の不安も大きくなります。
だからこそ、伝え方を少し工夫すると、関係が壊れにくいです。

たとえば、
「あなた、勉強しなさい」ではなく、
「私は、勉強のことが少し気になってる。
もし手伝えることがあったら言ってね」
みたいに、Iメッセージ(私はを主語にする言い方)で伝えると、
本人が考える余地が残ります。
同じ内容でも、
決めるのは本人という空気が守られると、
主体性が育ちやすいです。
そして、お母さんが焦ると、
いつの間にかお母さんがスケジュールを握っていて、
本人は「乗せられているだけ」になってしまうことがあります。
そうなると、本人は一回動いても、どこかで揺り戻しが起きやすい。
だから、親のペースではなく、本人のペースを優先する。
とにかく、細かい何もかも、助言せずに、本人が自発的に決めることが大事です。
チロルチョコの味、アイス選びでさえ、一つ一つ、本人が決めることが大事です(以前の生徒でアイス選びに2時間かかった子がいました。)
このバランスが、後期は特に大事になりやすいです。
ここから“自立”が始まります
後期(試行期)って、見方を変えると、
ここから「自立の練習」が始まる時期でもあります。
ステップでは、不登校のゴールを「学校に戻すこと」だけに置きません。
本人が、自分の人生を立て直していけること。
そのために、自分で考えて、自分で選べるようになること。
その土台が、この時期に育っていきます。
ただ、繰り返しになりますが、
うまくいっているように見えても揺り戻しがある。
だからこそ、焦って結論を出さなくて大丈夫です。
「少し動けた」「少し話せた」
その小さな芽を、急いで大きくしようとしない。
それが、結果的に次の段階につながっていくことが多いです。

次の第4段階では、
試していたことが定着していき、
外の場(学校だけとは限りません)と継続的につながっていく話になります。
その前に、まずは今の「小さな変化」を、
回復のサインとしてそっと受け取ってあげてください。
お母さん一人で抱え込まなくて大丈夫です。
原
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第2段階(中期・安定期)について
「動けないけど、少し落ち着いてきた」時期の見守り方をまとめています。
👉不登校の回復中期(停滞期)|動かない時期は悪化じゃない?昼夜逆転・部屋から出ない状態の見方
▶次は第4段階(復帰・定着期)の記事へ
試し始めた行動が、少しずつ“続く形”になっていく段階があります。
次回は、定着期に起きやすい不安と、家庭での支え方を扱います。
(記事を作成し次第、ここにリンクを貼ります。)