こんにちは。
今日は「不登校の回復ステップ」シリーズの第4段階、復帰期(定着期)の話です。
不登校の期間を経て、
少しずつ外に出られるようになって、
学校や別の場所に「通い始めた」。
それは、すごく大きな一歩です。
「行くようになってくれた」とほっとする一方で、
「上手くいくのかな」とお母さんも内心ドキドキすると思います。
…でも、その直後に、こんな気持ちになるお母さんが多いです。
「せっかく動き始めたのに、なんだかしんどそう…」
「また崩れるのではって、毎日ソワソワする」
「“行けた”はずなのに、なんでこんなにつらそうなんだろう」
「私の対応が悪かったのかな」
ここ、すごく心が揺らぎます。
だから今日は、通い始めたのにしんどそうに見える時期を、落ち着いて整理していきます。

(回復ステップの全体像は、こちらの記事にまとめています。途中で迷子になりそうなら、先に全体を見てから戻ってきても大丈夫です。
“地図アプリ”みたいに使ってください。方向感覚がゼロでも大丈夫です。)
通い始めたのに、しんどそうに見えるとき
「通い始めたのに、しんどい」
この相談、ほんとによくあります。

通い始めた直後って、見た目は“前進”に見えます。
でも、本人の中では、新しい負荷がかかり始める時期でもあります。
- 朝起きるだけで体が重い
- 教室に入るだけで神経が張る
- 人の視線が気になって消耗する
- 帰ってきたら、言葉数が減る
- 週の後半でガクッと落ちる
こういうの、あります。
(“しんどさポイント”が、あちこちに配置されている感じです。)
ここでお母さんが一番苦しくなるのは、
「これって失敗する予兆なの?」
という不安だと思います。
でも、実際の支援現場で見ていると、通い始めたあとに出てくる“しんどさ”は、むしろ自然なことが多いです。
「不登校後の再登校がつらい」と感じるのは、
本人が弱いからでも、家庭が悪いからでもなく、
社会復帰への行動が始まった分だけ、調整が必要になる場面が多いからです。
せっかく行ったのに…ではなく、
動いたからこそ出てきた反応かもしれない
くらいに思ってください。
(そもそも、愛情いっぱいの気持ち100%が元の不安ですよね)
復帰期は「戻ること」より「新しく定着させること」の段階です
ステップでは、復帰期を「ゴールに到達した段階」とは捉えません。
復帰期は、すでに通い始める・外に出始めるが起きている前提で、ここからを定着するための期間として扱います。
ここで大事なのは、「社会とつながること」を目的に置きすぎないことです。
復帰期は、もうつながり始めている段階です。
ここから先は、できるだけ楽しく楽に、安定して続けられる形に整えることが中心の課題です。
定着というのは、気合いで通い続けることではありません。
- 本人に合った場所(多くの場合は学校になりますが、別の学び方が合う子もいます)を見つけて
- そこでの生活が
- 楽しく、楽になっていき
- だんだん安定していく
もし「社会復帰」という言葉を使うなら、
ステップではそれを、本人に合う場所に安定して通える状態(=定着)という意味で捉えます。
しかも、前の場所に「そのまま戻る」というイメージだと、しんどくなってしまうことがあります。
不登校を経て、新たに学校に定着するくらいのイメージが大事です。
「まさに心機一転!」と思うことが、コツです。
だから、前は友達ができなかった→耐える、ではなく、
友だちを作る練習をしてきた→だから、楽しい。
ご本人がそんな発想に変わっていくと、ちょっと楽になります。
(もちろん、いきなりは無理です。じわじわでOKです。)
この考え方の、もっと根っこにある目的は、
今この時を楽しめて、過去・現在・未来がつながり、人生が進んでいる状態です。
この「人生が進んでいる状態」が、ステップの理念でもあります。
(つまり、ここからは“気合い”より“微調整”の世界です。地味だけど強いです。)
復帰期に出てきやすい“予想外のしんどさ”
授業中の音や空気がつらい(感覚のしんどさ)
教室のざわざわ、椅子を引く音、チャイム。
気にしないようにするのが難しい子もいます。
不登校前には気にならなかった音が、気になりだすこともあります。
これ、本人が気合いを入れたから起きる、というより、
心と体が「警戒モード」に入っている感じに近いです。
思ったより友達ができない/距離感が難しい(人間関係)
不登校後、友達関係が全く変わっていることがあります。
周りの子たちにとって、不登校の子は来たり来なかったりする印象になりやすく、
友だちのメインメンバーに入りにくいのです。
だから、輪に入りにくいと感じることがあります。
ただ通うだけでは、不登校から友達を作りにくい。
ここは、現実としてそうなりやすいです。
勉強の遅れが不安になる(学業)
通い始めた瞬間に、「ついていけないかも」が出ることもあります。
本人の中で、焦りと不安が一気に出ることがあります。
疲れやすくて生活が崩れる(体力・生活)
不登校の期間に体力が落ちて、疲れやすい身体になっていることがあります。
通うこと自体が、体力だけでなく神経を使います。
無意識から、強い不安が出る(心理)
通い始めたからこそ、不安が強まることもあります。
それは、不登校前のストレス状況に近づいてしまうことを、心が怖がっている感じです。
そんな風に、復帰期は、“安定しているように見えて不安定”が混ざる時期です。
これはダメな状態ではなく、調整の材料が見えてきた段階と捉えられます。
ここからやるのは「困りごとの調整」です
復帰期の支援は、背中を押すことより、困っていることを拾って、ご本人と一緒に具体的に整えることを中心に行います。

たとえば「体力が足りない」なら、
- ハンバーグにプロテインを混ぜる
- 温泉に行って、マッサージ(有料)を受ける。
- ボルダリングをしに行ってみる。
- 週の中であらかじめ休む日を決めておく
こうした工夫が助けになることがあります。
大きな作戦より、小さな「通えるかも」を増やすこと。
それが「学校への定着」につながっていきます。
(地味な積み上げ、強いです。派手さはないけど、裏切りにくい。)
後期に戻ってもOK
この時期に対策が追い付かない場合、後期(試行期)の状態に戻ることがあります。
でも大丈夫です。
対策し直して、再挑戦してくれます。
仕切り直しです。
焦らないでください。
(ゲームに例えると、宿屋に戻っただけです。無理をしなければ、すぐに回復します。)
(前段階の「後期・試行期」での動き方は、別記事で整理しています。復帰期の揺れを理解するヒントになります。)
親ができる一番の支え方(押すのではなく、後方支援)
行けた/行けないで一喜一憂しすぎない
復帰期は波が出ます。
「今日は休んだ。どこがきつかったのかな」
くらいの温度で見られると、調整が進みやすくなります。
「困ってることある?」の聞き方
「学校どうだった?」より、
「今日いちばん疲れたのはどこ?」
のほうが話しやすい子もいます。
Iメッセージを使う
「また休むの?」ではなく、
「私はちょっと心配が強くなっていて。困ってることがあるなら手伝いたいな」
という伝え方だと、関係が崩れにくいです。
学校との連携は“困りごとの解決”として
“通わせるため”ではなく、
続けられる形に整えるため。
この視点で連携すると、意味が変わります。
この時期のストレス反応は、本人が耐えるために緩和しようとします。
(私は、たくさんチョコを食べていました。)
ストレスが減る行為を過剰にしていても、いったんスルーしてあげてください。
(この時期のチョコのカロリーはゼロです。たぶん。)
定着してくると、人生が「進み始める」感じが出てきます
復帰期が整ってくると、生活の端々に変化が出ます。
- 朝の動きが少し軽くなる
- 帰宅後に余裕が残る
- 「来週こうしたい」が出てくる
- くだらないことを、小さく楽しめるようになる。

一直線ではありません。
それでも、楽しく楽に通える形が増えると、少しずつ安定していきます。
もし今、復帰期の真ん中で不安が強いなら、
「今は整えている途中なんだ」と置いてみてください。
家庭の中だけで抱えるのがしんどい日は、LINEや相談ページで、今のモヤモヤを吐き出すだけでも大丈夫です。
状況を一緒に分解して、どこを整えると楽になりそうかを整理できます。
(回答をもらうというより“頭の中を片づける”用途でご相談いただけると幸いです。)

原