こんにちは。NPO法人ステップの原です。
今日は、ステップの理念「今この時を楽しめる」が、具体的にどういう状態を指しているのか、というお話です。
「遊んで楽しい」とは違います
「今この時を楽しめる」と聞くと、
「不登校の子がゲームして楽しいって言ってれば、それでいいの?」と感じる方もいるかもしれません。
ご両親からは遊んでいるように見えても、
不登校で悩んでいる時期に、ご本人は心からゲームを楽しむことなんてできません。
私は、ステップの生徒には、人生を心から楽しんで欲しいと思います。
だから、ステップが言っている「楽しめる」は、刹那的に楽しいという意味ではありません。
心から楽しむことができるように、3つの時間軸が揃った状態のことを指しています。
過去と今と未来。
この3つが噛み合って初めて、心から「今この時を楽しめる」ようになる。
一つずつお話ししますね。
過去を「なかったこと」にしない
まず1つ目は「過去の肯定」です。
不登校を経験した子どもたちの多くは、不登校になる前の時期はしんどかったはずです。
何かを解決できず、もがいてもがいて対策するけど、うまくいかない自分。友達とうまくいかなかった自分、期待に応えられない自分。
この過去を、処理せずに、先に進もうとする生徒は多いです。
シンプルに、解決できなかったことと認識しているからです。
気持ちはよく分かります。
でも、
- 自分は不登校前とは違う
- 対策をして自分は変わったんだ
と思えないと、学校に復帰する時に、学校復帰を心が拒否してしまいます。
(不登校前と同じストレスに、また襲われると予想するからです)
それに、自分の人生の一部を否定し続けていると、自己肯定感がなかなか上がらないんですね。
対策した方が良いです
ステップが目指しているのは、「あの時はつらかった。でも、あの経験があったから今の自分がいる」と思える状態です。
無理やりポジティブに変換するということではなくて、過去のしんどさを受け止めた上で、それを含めた自分を「まあ、これでいいか」と思えるようになること。
心理用語だと、自己受容と言います。「イマイチな自分も受け入れて、活かそう」と思う気持ちです。
私自身も、不登校で太ってしまった自分を、受け入れるまでに時間がかかりました。
でも、ある時、アクティブデブという言葉を知りました。
タイムマシーン3号の関さんと言う芸人が、太ったまま素早く動けるデブをギャグにしていました。
目からうろこが落ちたのを覚えています。
その後、アクティブデブを目指し、犬とのランニングを始めました。
これが最初の軸です。
未来が、なんか楽しそう
3つ目は「未来へのつながり」です。
不登校が続くと、「自分はどこにも向かっていない」「この先どうなるんだろう」という不安が大きくなります。保護者の方も同じ気持ちだと思います。
ステップが目指しているのは、完璧な将来設計ができている状態ではありません。
漠然とでも、「自分はどこかに向かっている」と感じられること。
「前の自分よりちょっとできることが増えたな」と思えること。
「未来って、なんか楽しめそうだな」というイメージが持てること。
この実感があれば、お子さんは自分の力で前に進んでいけます。
その未来に向けて行動できていると思えた時、人生は生きる価値が大きくなります。
(私自身はこれを、彼女をつくるために頑張るいとこや、適応指導教室の先輩がキャリアに悩む話から教えてもらいました。)
自分で決めて、動けている

3つ目は「今の安定と楽しさ」です。
これは具体的に言うと、こんな感じです。
自分のことを「まあまあ大丈夫だな」と思えている。
人と関わることが、それほど怖くない。
自分で決めたことに取り組めている。
ポイントは、「誰かに言われたからやっている」のではなく、「自分で決めて動いている」という実感があること。
それと、環境面でもマイナスなことが少ないこと。安心できる場所があって、信頼できる人がいて、日常の中に「楽しい」と感じる瞬間がある。
そういう「今」が安定していることが、3つ目の軸です。
3つが揃って「卒業」
過去を受け入れられている。今が安定して楽しい。未来に見通しがある。
この3つが揃って初めて、「今この時を楽しめる」状態になります。
これが、ステップの卒業のかたちです。
だから、学校に行けるようになっただけでは卒業にしていません。
この3つが揃っているかどうかを確認した上で、送り出すようにしています。
この3つの時間軸が安定している卒業生は、社会を作っていってくれます。
そして、久しぶりに会った時に言ってくれます。
「人生は余裕です」
「皆が悩んでいることの多くを悩まずに済んでいる」
「不登校になって良かった」
頑張って良い不登校支援になるように改善し続けて来て良かった。と心から思います。(そういう日の酒はうまいんです🍺)
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